消費税の逆累進性

所得の多い人ほど高い税金を払う所得税と異なり、消費税は消費のみによって決まる税制である為、所得が多い人も少ない人も同じ税率となる。しかし実際には消費税(売上税)は所得が少ないほど不利な税制(逆累進的税制)だという指摘がある[35]。

というのも所得の少ない人は貯蓄する余裕がなく、収入の多くの割合を消費に回してしまう傾向があるので、より高い割合で消費税を払わねばならなくなるからである[35]。

実際、利潤、利子、配当などの資本所得には消費税はかからない為、こうしたものに投資する余裕がある人(≒所得の多い人)ほど有利な税制となる。 また貯蓄を切り崩して消費に回せばそこに消費税がかかるが、一生使われなかった貯蓄には(相続税はかかるものの)消費税はかからない事も、消費税は消費の多い人(≒所得の少ない人)に不利な税制となる原因である。

しかしこうした意見は、何を課税ベースにするのが適切なのかという議論を無視しているという指摘もある[35]。実際適切な課税ベースが所得でなく消費であるなら、納税額を所得と比較するのは意味の無い議論である[35]。

なお所得が少ない人ほど収入を消費に回す割合(消費性向)が高い事は統計的にも実証されており、例えば総務省による2000年〜2009年の集計データでは、年収約400万円の世帯では消費の割合は80%台、年収約1000万円の世帯では60%台である[36]。

こうした統計をベースにして所得による消費税の負担割合してみると、一番年収の少ないのグループが消費税の約45%を支払い、一番年収の多いグループが消費税の約22%を支払っている事が分かり、約2倍の差がある(家計を年収合計が同じ3つのグループに分けた場合)[37]。

別個の議論として、売上税の場合、消費の一部にしか課税されてない為、 その課税対象の選び方が原因で、所得の少ない人ほど高い売上税を払わねばなっていると指摘するものもいる[35]。

また仮に消費税の逆累進性があっても、きめ細かい社会保障制度の実施や、被扶養者が多い世帯へ直接給付を行う事により、消費税の逆累進性を補完できるとする意見もある。

なお消費税に累進性を与え、所得の高い人ほど高い消費税を支払うようにする新しい税制が作れるかどうかも一部の経済学者の間では以前から検討されており、例えば京都大学橘木俊詔教授の累進消費税(累進支出税)などが提案[38]されている。

日本共産党と日本社会党(後の社会民主党)は、消費税は低所得層にとって負担の大きい逆累進的な税金であるとして、与党が消費増税をすることに反対したり、制度そのものの廃止を主張してきた。 ただし、社会党は、村山内閣の時に、消費税を3%から5%に増税することを決定している。当時の与党は社会党、自民党、新党さきがけの3党で首相を社会党から出しているとはいえ、国会での自民党の勢力は社会党の3倍近くあった上に村山内閣の主要閣僚の多くが自民党であった為、実質的な首班は社会党ではなく自民党になっていたためと考えられる。消費税増税が実施されたのは完全に自民党首班(組閣は自民党単独)に戻った第2次橋本内閣の時であったが、この時もまだ社会党(社民党)は閣外協力の形で与党に留まっていた。 自民党との連立解消後は、再び消費増税に反対するようになり、消費税廃止の主張を復活させている。


『ウィキペディア』参照